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GOALコラム

将来の仕事はどうやって決めたらいいの?

いろいろな将来の仕事

「将来の仕事って決まってた方がいいんですか?」

「将来の仕事はいつごろまでに決めればいいんですか?」

「将来の仕事をどうやって決めればいいんですか?」

だれしも一度はしたことがある質問ではないでしょうか。

私は塾の先生だけではなく、人事の新卒・中途採用を担当した経験があります。「先生」と「人事」というキャリア形成の2つのプロとして、​この記事では「将来の仕事の選び方」についてお話しします。

​AIの発達​により将来の仕事はどう変わる?

将来の仕事を語る上で欠かすことができないテーマは「AI=人工知能」です。

「AIの普及によって多くの仕事がなくなってしまう。」​という情報もありますが、実際のところAIはどのくらい発達しているのでしょうか?

2020年5月現在も世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス。実は、この新型コロナウイルスを封じ込めるのに、多くの場面でAIが活用されています。

例えば中国や韓国では大量のスマートフォンの位置情報を利用して、感染者の追跡を行っています。日本でも駅や都市での人口の「密」状態を調べるのに位置情報が利用されました。これらのビッグデータを解析しているのがAIです。

また、新型コロナウイルスの症状の1つである発熱を早期感知し、感染拡大を予防することができるツールも発明されました。

株式会社データスコープはウイルスの感染拡大を予防するため、顔認証による体温検知ができるカメラ・入退館システムを開発しました。

将来の仕事とAI

また、SUNELL社は最大 30 人の体温を接触することなく瞬時に測定し、発熱している人を検知できる高精度体温検知システムを開発しました。

将来の仕事とAI

このように大量の情報を瞬時に判断することは人間にはできないので、この分野においては最早AIは人間を超えていると言ってよいでしょう。

​将来の仕事がAIに奪われる?

将来の仕事とAI

これだけAIが発達していたら「AIによって将来人間の仕事が奪われてしまうのではないか?」と心配になるのも当然です。

例えば、英国オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授とカール・ベネディクト・フレイ博士は、米国において10~20年内に労働人口の47%が機械に代替可能であると試算をしています。

 

日本については、株式会社野村総合研究所が、オズボーン准教授及びフレイ博士との共同研究により、日本の労働人口の約49%が就いている職業において機械に代替可能との試算結果もあります。

オズボーン教授によると、例えば次のような仕事がAIに代替え可能だそうです。オズボーン教授の論文によると、702の仕事のうち47%がなくなると予想されているので、ここでご紹介するのはほんの一部です。

・レストランの案内
・レジ
・ホテルの受付
・電話オペレーター
・電話販売員
・集金担当者
・クレーム処理担当
・データ入力作業
・銀行の融資担当
・保険の審査担当
・クレジットカードの調査担当
・クレジットアナリスト
・簿記、会計、監査の事務員
・測定作業員
・弁護士助手

AIは大量の情報を単純に処理したりパターン化したりするのが得意です。例えば銀行の融資課といば銀行内でも花形の職種でしたが、過去の融資条件を何百何千パターンAIにインプットすれば、その融資が適切かどうかを瞬時に判断できるようになります。

時々生徒たちの中に「自分は将来会社員になって簡単な作業だけしていればいいです。」と言う人がいますが、そのような単純ホワイトカラー業務は将来確実になくなっていくでしょう。

製造業においてもAIと3Dプリンターを組み合わせることで、今まで職人技で作っていた模型や型などを精巧かつ簡単に作れるようになっています。

一方、AIが苦手なこともあります。今のところ、AIは「分析」はできますが「判断」はできません。理論上は低い成功率だとしても、それに挑戦して成功してきた人や企業はたくさんあります。また、AIは人の感情を理解したり人を元気づけたりすることも苦手です。

仕事や学問において必要とされる能力を「知識」「技能」「判断」「表現」「思考」の5つに分類すると、AIが得意なのは「知識・技能」、人間にしかできないのは「判断・表現・思考」です。

したがって、これからの社会ではAIを用いて「知識・技能」を習得・活用できるのは大前提で、そこからさらに人間にしかできない思考力・判断力・表現力を持っている人が求められていくでしょう。

​※参考

・総務省平成30年情報白書

​・CROSS OFFICE

​将来の仕事はどうやって選べばいいの?針鼠の概念

将来の仕事と針鼠の概念

先ほども述べたように、これからのAI時代では「自分にしかできないこと」を仕事にできる人が生き残れます。

中学生・高校生が将来の仕事を選ぶうえで、「針鼠(ハリネズミ)の概念」という考え方が役に立ちます。

※参考 日経BP出版 ジム・コリンズ著「ビジョナリーカンパニー②」

世界で最も影響力のある経営コンサルタントであるジム・コリンズ氏によると、偉大な実績に飛躍した企業は3つの円が重なる基本概念によって行動を決定していたそうです。

この概念は個人が将来の仕事を選ぶうえでも非常に役立つ考え方です。次の3つの円が重なっている仕事があなたの天職です

将来の仕事と針鼠の概念

①情熱を持って取り組めるもの=好きなこと

・好きでたまらないもの

・それをやっていること自体が楽しいもの

②世界一になれる部分=得意なこと

・持って生まれた能力にぴったりのこと

・その能力を活かして世界でも有数の力を発揮できる

・「自分はこれをするために生まれてきたのだ!」と思えるもの

③経済的原動力になるもの=十分な報酬を得られるもの

・「これをやってこんなにお金が入ってくるなんて夢のようではないか!」と思えるもの

​これだけだと分かりにくいので、例を考えてみましょう。

例えばあなたが野球を大好きだったとします。毎日野球をするのが楽しくて仕方ない。1年365日のうち360日は野球をやるぐらい野球大好きです。

でも、残念ながらたくさん練習しても才能ある人に追いつけません。それどころか、後から来た人にも追い越されてしまいます。

この場合「情熱」は満たしていますが、「世界一」と「経済的原動力」は満たしていないので、野球選手を将来の仕事にするのは止めた方がよいでしょう。

では、この人は大好きな野球を仕事にすることを諦めるしかないのでしょうか?そんなことはありません。

野球をプレーする才能はなかったけれども、分析したり理論を理解したり人に教えたりすることは「得意」かもしれません。

野球選手にはなれなくても、野球のコーチ・野球教室の先生・スコアラー・スカウト・野球用具開発会社などで十分な「報酬」を得ることはできます。

これなら「情熱」「得意」「報酬」という3つの円を満たすことができます。

将来の仕事を選ぶときに気をつけていただきたいのは、「この業界は今勢いがあるから」「需要があるから」「これから伸びるから」「人気だから」などの理由で将来の仕事を決めないことです。

 

超優良に飛躍した企業は地味な産業で目覚ましい実績をあげている場合が多いです。偉大な産業で事業を行っていなければ偉大な企業になれないわけではありません。

それと同様に仕事を選ぶ時も、「将来性」や「勢い」で選ぶのではなく、「情熱」「得意」「報酬」という3つの円が重なるところから選びましょう。

​将来の仕事の選び方「自分の好き・得意が分からない」

将来の仕事が分からない女の子

​ここまでで将来の仕事を選ぶには、情熱(好き)・世界一(得意)・経済的原動力(報酬)の3つの円が重なっているものを選ぶことが大切であると分かりました。

でも、「好きなものがない」「得意なことがない」という中学生や高校生も多いと思います。その場合どうすればいいのでしょうか?

①体験してみよう!

自分の得意なもの好きなものは、とにかく体験してみないと分かりません。体験することで「あ、これ好きかも!」「得意かも!」と思えるようになります。習い事、スポーツ、遊び、勉強、施設見学などなんでも積極的に挑戦してみましょう。

②本やドラマを見てみよう!

自分で直接体験できなくても、本を読んだりドラマを見たりしてその仕事への憧れが生まれる場合もあります。弁護士・医者・先生など、いろいろな仕事のドラマや小説に触れてみましょう。

※ちなみに私は藤沢とおる作「GTO」を小学生の時に読んで、「生徒の気持ちを本当に分かってあげられる先生になりたい」と思いました。また、山崎豊子原作のドラマ「白い巨塔」を見たときは医者になりたいと思いましたし、ドラマ「不毛地帯」を見たときは商社マンになりたいと思いました。

③自分の人生を棚卸してみよう!

高校生の進路選択のときなどは、新しく体験したり本やドラマを読んでいる暇はないと思います。そういうときは、自分の人生を棚卸してみましょう。「自分が人生で一番楽しかったのはいつ?」「そのときに熱中していたものは?」「だれかから褒められたことはあった?」「自分がやりがいを感じたのはどんなとき?」と自己分析してみましょう。

成績アップのカギは未来志向です。「今がこの点数だから高校は〇〇高校で大学は〇〇大学かな」という考え方ではなく、「将来〇〇になる!→そのために〇〇大学に入る!→〇〇高校に入る!→中間テストで〇〇点以上取る!」と、未来から逆算して今を考えましょう。将来の仕事が決まると毎日の勉強が楽しくなります。また、勉強する目的も見いだせるようになります。こういう人は強いですよ。すぐに成績アップできます。

もし今「勉強のやる気が出ない」という人がいたら、まずは将来の仕事を決めるところから始めてみてはいかがでしょうか?

​まとめ「将来の仕事の選び方

将来の仕事を考えている女の子

将来の仕事の選び方

  • 今後10年~20年の間に約50%の職業がAIに代替可能。

  • 思考力・判断力・表現力を鍛えてAIにできないことを仕事にしよう。

  • 「好きなこと・得意なこと・十分な報酬を得られること」の3つの円が重なるところを仕事にする

  • 自分の「好き・得意」が分からないときは、体験してみたりドラマや小説で疑似体験してみよう。

  • まず将来の仕事を決めてから今やるべきことを逆算しよう。

「将来の仕事の選び方」いかがだったでしょうか?もしかしたら、中学生や高校生のうちに将来の仕事を決めることを重荷だと感じている人もいるかもしれません。でも、一度決めたことがそのうち変わったっていいのです。

まずは一歩踏み出して、この記事を参考に将来の仕事を決めてみてはいかがでしょうか?きっと、勉強への向き合い方が変わると思いますよ。勉強に対する姿勢が変われば成績が上がり、もっとすばらしい将来を描けるようになるでしょう。あなたが天職を見つけて将来成功できることを願っています。

小川大輔

執筆者紹介

  • 自立学習塾GOAL代表 小川大輔

  • 大学1年生で家庭教師のアルバイトを始めて以来、教育一筋12年(家庭教師3年、学習塾9年)。

  • 個別指導と集団指導の両方での指導実績あり。

  • ​生徒指導だけでなく​人事・総務・広報など学習塾の業務を幅広く経験し、2020年に自立学習塾GOALを開業。

  • 教育や成功哲学に関する研究をライフワークとする。​

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